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2010年11月

退団者に思う~Ossaの団員って

一人の団員が退団した。最後は二人で夕食を取る時間が持てた。それが何とも楽しかった。

さわやかに彼女は自分の今までと将来を語り、私の方もOssaについて今後を語り、こんなにも気持ちよく理解しあった上で退団していった人はなかったのではないか?!それはお互いの専門に対する尊敬の気持ちがあったからだろう。

彼女との話の中で、私は新たに気づいたことがある。

「変えられない」ものがある。

今まで辞めていった団員の中の半分以上は、発声や身体の状態がよくなっていっている時に辞めていく。もちろん、お姑さんの病気や仕事の忙しさ、結婚、出産。。。などなど重なるが、それはいい訳のようにも思える。現にそれらが同じように起こったとはいえ、続く人はずっと続く。

Ossaでは正直、初心者は歓迎ではない。音楽の素養は小さいころに幾らかは作られるから、家にクラシック音楽が鳴っておらず学校の音楽の時間しか経験したことがない人には残念ながら無理だろう。初心者だと言いつつ、小学校の間、ピアノを習っていてチェルニー30番は終わっているという人が私の声楽の個人レッスンの生徒にもいるが、そういう「合唱初心者」は歓迎だ。「音楽初心者」はやはり困る。(もちろん、そこを補える努力ができる人は別だ。)

一番うれしい団員は、「やっと自分が求めていたものを教えてもらえる指導者に出会った」と、私のボデイ・マッピングの講座や個人レッスンで感じる音大・教育大音楽科卒の若い団員だ。発声のことに悩み、音感はあるのにうまく歌えないと感じていた人、ピアノがかなり弾けるのにここからはうまくならないと音楽を続けること、専門とすることに壁を感じている人、表現を出そうとして無理をして声が壊れそうになった人、私はそういう人を教えるのを得意としているかもしれない。なぜなら、その人たちの中には、すでにやりたい音楽がある。音楽に求めるものがある。

個人レッスンや「音楽家なら誰でも知っておきたい『からだ』のこと」の講座にまずは参加するのがいいかもしれない。

合唱指揮者である前に声楽指導者である私は、発声や表現の仕方を学び直したい人、その中で美しい合唱音楽を皆で作っていきたい人、さらにプロとして活躍できる合唱団にまで成長したいと思っている人、そういう長い眼の高い志を持ち、仕事や家庭がどんなに忙しくてもそれをなんとかやりくりして、歌うことで自分のペースを取り戻し、音楽的に発展したいと思っている人にまずは歌うために必要なことを教えたい。そしてハモりたい。実際、Ossaの団員の多くはそうだ。

Ossaはもっとも志の高い団員に合わせて活動する。ともに進み、あるいはついて来れる人がついて来る。この思いは最初から変わらない。

だってそうでないと、おもしろくない。それに他の合唱団で十分できることはそちらでどうぞ。そしてOssaでしかできないこと、私にしかできない指導方法~いつのころからかなぜだか自信がある。だからもう少しだけ、たくさんの団員が集まることを願う。

第2回定期演奏会、決定!

 Ossaの第2回定期演奏会は2011年11月26日(土)14:00開演、 兵庫芸術文化センター・小ホールに決定した。http://www1.gcenter-hyogo.jp/sysfile/center/top.html なんでも50人ぐらいがくじに来ていたらしい。すっすごい人気のホール!バリトンSくんが3番を引き当て、第1希望がかなった形だ。すばらしい!

 さて、私が第2回定演までにやりたいことはたくさんある。第1回定演で一番大切にしていたことは、団員一人ひとりがのびのびと気持ちよく歌えることだった。よくある、出だしやハーモニー、はたまた声質を全体に「合わせること」に気を取られて、各自が縮こまることをしたくなかった。縮こまり、変に気を使っていてはダイナミックな音楽作りはできないと思う。一方で、音や言葉に対する「感性」を磨き、大して気に留めなくても「合う」ようにしたかった。

定演後の団員の表情は明るかったし、やはりそれなりに歌え、ちゃんと終えたという達成感は大きいものだった。聴いてくださったの人の批評も、「とても気持ちのいい声で聴いていて癒された」など意図したことがうまく伝わった人と、「ドイツ語の発音がはっきりしない」「表現がいまいち、何を伝えたいかよくわからない」などの評もあった。それはそうでしょう、ドイツ語の発音はまだ全くと言っていいほど直していない、特に子音をうまくさばきドイツ語らしく聴こえるように、細工?をしなかった。ドイツで私が受けた“Sprachgestaltung”(「発語法」)のレッスンをもとに、正しいドイツ語の発音を指導したい。単に子音が強ければ日本人の耳にはドイツ語っぽく聞こえるが、「ドイツ語の子音は何とも柔らかい!」、それが私がドイツで学んだ衝撃的な印象だ。思っていたドイツ語とはずいぶんかけ離れていた。音大とは別に個人でもレッスンに付いていたが、最初のうちは1時間で1段しか進まなかったなあ~(笑)。。。。Hummmel先生は何とも厳しかった。だからこそ、今なら舌や唇の動きを詳しく解説できるのだが。

まずは母音でフレーズを歌う、それができ、舌や唇がリラックスしているのなら、子音のさばきを指摘するつもりだったが、頬の筋肉も唇もまだまだ硬い人が多い。これで子音を。。。と注意するとどうなるか!?声は飛ばず、私が目指す真のハーモニーは生まれない。顔の筋肉が硬いのも、腰や胸が固いこと、立ち方にも由来している。だからそちらを先に修正したい、バランスを取りたい。そのあとでなら子音の修正は簡単になる。

 表現については、表面的にうまく聴こえるように作ることもできた。強弱を幾分大げさにして、テンポをやや工夫し。。。などすればすぐ変化がつく。しかし、これもやりたくなかった。とにかく身体を使って歌い、表現のためと称して声をひずませたくなかった。強く表現すると声が疲れる、この方程式から脱するために、演奏としての最終的な出来を直接追わず、団員を育てるためのプロセスを大切にしたつもりだ。そして何より、その音楽の本質的意味を各人が理解したい。すると表現はおのずと出てくるはずだ。時間がかかってもそちらを待ちたい。

 結果、聴いてくださった方にわかってもらえなかった点もあり、悔しい思いをした。まあ、当然といえば当然だが。演奏会にプロセスを聴きに来る人はいない。

 そこで第2回はこれらをきちんとクリアしたい。しかもそれを絶対時間が少ない中でどう指導するか?!指揮者としての真価が問われる第2回定演となりそうだ。

 各パート、あと1人ずつ増えないか?!武満徹やプーランクの「クリスマスの4つのミサ」、はたまたペルゴレージ“Stabat Mater”を歌い、自分の声や音楽スタイルを先に進めたい音大卒や合唱経験者の方、いませんか?

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